Touch#01 イノダ+スバイエの【デザイン】についてです。
2013.07.12
[ exhibitions ]
7/14 Touch#01 4回目はイノダ+スバイエの【デザイン】について
イノダ+スバイエの二人は、日本人とデンマーク人。そして活動の拠点はイタリア。
イタリアにいると「開発する」力がとてもつく。それは、イタリア家具社会の発展から培われてきた土壌によるものだ。
イタリア各地域、各分野の職人の、より良いものへの旺盛な追求心と、サローネの発展や競争相手もたくさんいることに感化され、常に新しい素材を発見する事やそれをどう加工していくのかと常に探求していく習慣があるのだ。
そんな変化し続ける家具文化とは無縁の国育ちだとしても、デンマークの歴史や知識、土地に根付いているデザイン感に、日本の繊細さや精密さを併せ、それぞれのバックグラウンドの上に、イタリアでの自分たちの発展方法を知り、自分たちなりの手法を編み出してデザインをしている。
私たちの家具作りで大切な事が二つある。
一つは、「現在進行形の家具である」こと。家具は日々進化するべきものとして考えている。
それは歴史を抜きにしては不可能なもので、歴史を知り、理解した上で、彼らが考えたようにその時代時代の環境や影響も把握し、現代に生まれるべき家具を創り出している。
20〜30年前とでは人間の体のサイズは違っているし、新らしい技術や素材も生まれている。それらに、製作過程での新技術を加えた事により、それが生まれていく。
もう一つは、大前提として「工業製品であること」、それは、生産性であり、量産が可能と言うこと。
もちろんプラスチックでパコン!と作ってしまえば、どんな曲線も出せるしコストも安くなる。但し、イノダ+スバイエの考える「工業製品である事」は、単に合理化を意識した一般の工業製品の椅子とは一線をおいたものである。
私たちにとってのそれは「若干の手間や手作業を惜しまない」こと。この手間や手作業が少しでも家具の中に入ると、家具は激変する。そこに命の息吹を感じさせ始め、繊細になり、そこから醸し出される贅沢さが生まれてくる。それこそがこの世界に存在する一般的な工業製品の椅子と私たちのいう工業製品の椅子の違いだ。
工業製品である事は量産において必要不可欠だが、そこにどれだけのクラフトマンシップを持って来て、バランス良く製品として世に出して行くのかが、私たちが今も追い求める「現在進行形」の家具。 「機械とハンドメイドの両立、それは"Heart made"につながる」この言葉が私たちが家具の中に吹き込みたいエッセンスそのもの。これからもHeart made"( 心に伝わる何か)にこだわって私たちは家具を作り続けていく事でしょう。